「いま、ここ」のおいしさを探して −vol.2 七草粥−

「いつでも」「どこでも」欲しいものが手に入る時代。
とても便利だけれど、かえって日々は単調になってしまいがち。

でもそんな毎日にアクセントを加えるヒントも、意外と「いま、ここ」の生活のなかに転がっているもの。

−−地元の八百屋さんで、旬の野菜を手にしてみる。暦に合わせて、献立を考えてみる。
そんな風に、ちょっと丁寧に準備してみれば、食卓も違った表情を見せてくれるかも。

「いま、ここ」ならではのおいしさ、探してみませんか?

 

■七日正月

一月七日は、人日の節句。
といっても、”七草粥を食べる日”の方が馴染みがあるかもしれませんね。

五節句といえば中国から伝わった風習ですが、いわゆる「せり、なずな…」の七草粥を食べるのは、日本だけなんだそう。
中国由来の、一月七日に七種の野菜が入ったあつもの(熱い吸い物)を食べる慣習。それに日本の「若菜摘み」が混ざり合い、七草粥が生まれたと言われています。

 

■春の兆しを探して

もともと若菜とは、初春に採れる葉野菜のこと。若菜摘みといえば、新年の季語でもあります。

「君がため 春の野に出でて 若菜摘む
我が衣手に 雪は降りつつ」
といえば、百人一首にも選ばれた、光孝天皇による名歌です。

雪が散らつく中、野原に顔を覗かせ始めた若菜を摘む…。旧暦の一月は今でいう二月頃ですから、まだ初春というにも早い、冬の終わりの景色ですね。

まだ寒い中で見つけた、春の兆しを贅沢に閉じ込めたお粥。
そのように思えば、七草粥が邪気を払うといわれるのも、腑に落ちる気がします。

■気軽に楽しむ、七草の粥

このように日本に縁の深い七草粥ですが、いざ家で作るとなると億劫に感じる人も多いのではないでしょうか。
旧暦とは少し季節がずれていることもあり、「春の七草」を全て揃えようと思うとなかなか大変です。
でもそれで諦めてしまうよりは、もう少し身近なお野菜で、気軽に試してみませんか。

 

「七草」のうち、すずな(かぶ)とすずしろ(大根)はよく見かけますよね。
他にも、ほうれん草、小松菜、にら、長ねぎ、三つ葉、水菜…
“若菜を摘む”ように、身近な旬野菜を見つけていくのも、一つの楽しみ方ではないでしょうか。

どこか懐かしく、ほっとする七草粥。新年の行事に一区切りをつけ、また始まる慌ただしい日々に向かって、身も心も整えてくれるはず。
気負いすぎず、自分なりのやり方でぜひ楽しんでみてください。

 

ちなみに。
少しごま油をたらすと、ぐっとコクが出て、満足感もアップ。
お粥は淡白な味がちょっと苦手…と感じている人は、ぜひお試しを。